「いぼ」という言葉は、一般的には皮膚の表面から盛り上がる小さなできものすべてに使われます。しかし皮膚科でいう「いぼ」というのは、ヒト乳頭腫(にゅうとうしゅ)ウイルスと呼ばれるウイルスが皮膚に感染して起こる病気です。
表面がザラザラして手足や膝などに多い「尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)」や、顔や腕に多く皮膚からほとんど盛り上がらない「扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)」、外陰部にできる「尖圭(せんけい)コンジローム」などの種類があります。
皮膚は身体の一番外側にあり、細菌やウイルスなどの感染から守るバリアーの役割を果たしています。そこに小さな傷や肌荒れ、皮膚病などができてバリアーが壊れると、ウイルスがそこから入り込んで皮膚の細胞に感染するとされています。「いぼ」が手足や顔、腕にできやすいのは、これらの場所が指の逆むけや手あれ、靴ずれ、髭剃り、毛剃りなどで傷つきやすいからだとされています。ちなみに尖圭コンジロームは性行為でうつる性病の一つです。
さまざまな治療がありますが、まだ「これが一番良い」といえる治療法はありません。
「いぼ」の種類や発症した部位・数、それまでの治療歴などが治療の効果に影響するため、ひとりひとりにその時点で最も適していると考えられる治療法が選ばれます。ただしどういった治療を行っても、「いぼ」の治療には時間がかかることが多いため、焦らず、根気よく治療することが大事です。